成約 ≠ 成功

成約したら終わりではない。

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PMI(Post Merger Integration)とは、『M&A後に行われる組織及び業務の統合』を意味します。

日本電産の創業者であり、ソフトバンクの社外取締役も務めた 永守 重信 氏が2012年8月の経済新聞にて、

「登山に例えれば、M&Aは契約の時点で2合目しか登っていない。残りの8合分は企業文化の違いをすり合わせる PMI という手間のかかる作業で、これが難しい。

と語っています。

2019年3月時点で63にのぼる積極的なM&Aにより、モーター事業において世界トップシェアを誇る大企業に育て上げた経営者の発言からも、

PMIはM&Aの成果を出す為には必要不可欠なものである』と言えます。

PMIは、

  • 戦略オペレーション
  • 人・組織
  • 業務管理
  • ガバナンス
  • 企業風土・価値観

といった要素ごとに、

  1. 『統合時』
  2. 『統合初期』
  3. 『統合定着期』

と段階的に施策を実施し、「人・モノ・カネ」「事業のインフラ」を整備することです。

整備が不十分であれば、業務上のミスや統合したシステムの不具合などが起こりやすくなります。

また、異なる文化の会社が統合することにより、社員同士の摩擦が発生することもあります。

それらを放置すると、当初想定していたM&Aによるシナジー効果を得られず、莫大な損失が発生することもあります。

では、PMIの何が難しいのでしょうか。

一つには、PMIを主導する『新経営者』やPMIプロジェクトを実行する『メンバー』など、「人」の問題があげられます。

中小企業では、オーナーのリーダーシップと権限が強いため、自分の意志・判断で動く主体的な人財が不足しがちです。

そのため、トップダウン型経営からボトムアップ型経営に変革を図るPMIを進めた場合、反発を招くだけでなく、社員のモチベーションが低下し、退職、プロジェクトの遅れなどの問題が発生することがあります。

そこで、PMIの最優先事項は、新経営者が被買収企業の社員を巻き込み、組織化されたチームを作ること(土台作り)と言えます。

積極的に被買収企業の社員とコミュニケーションを図り、人間関係を構築し、統合作業の目的を腹落ちさせる必要があります。警戒心を解くためには、毎日の声掛けが有効です。

チーム作りの次は、社員のモチベーションを向上させる仕組み作りの段階に入ります。

モチベーションを向上させる一つに、弊社代表が元Apple Japan社長の山元賢治氏から学んだ『ハイタッチ』や、成長できる職場・舞台づくりがあります。

山本賢治氏は、人間関係の問題や業務環境、金銭的な問題などの要因だけでなく、評価や成長などの『動機づけ要因』にもアプローチの必要があると提唱しています。

動機付けの要因の中でも、達成感を得る事がモチベーションの向上に効果性が高いとされています。

例えば、優先度が高く難易度の低い施策から進める、表彰制度を設けるなど、 達成感を感じやすい仕掛け が有効です。

どんなに優れたビジョン、戦略並びにフレームワークがあってもPMIを実行するのは「人」です。

シナジーを最大限発揮させM&Aの成果を最大化するためには、「人に任せる」のではなく「人を巻き込む」PMIとすることが大切です。